脳神経内科

NEUROLOGY

認知症・もの忘れ

記憶力は加齢とともに低下し、もの忘れも増えていきます。
「大切な約束を忘れてしまった」、「いつも通い慣れているはずの道がわからなくなった」、「何度も同じことを聞いてしまう」といったことも、もの忘れには含まれます。
この様な症状は年齢相応のもの忘れのほか、軽度認知障害(MCI:認知症の前段階)や認知症の初期段階の症状である可能性があります。
認知症にはいくつかのタイプがあり、頻度が高い認知症としては以下の3つが挙げられます。

アルツハイマー型認知症(AD)

日本人で最も多いタイプの認知症で、認知症全体の60%以上を占めます。ADはアミロイドβやタウ蛋白というタンパク質が脳に蓄積して神経細胞が破壊され、徐々に脳が小さくなることで症状を引き起こす病気です。
初期の症状はもの忘れが主で、その後、日付や場所が分からなくなる、金銭管理などの日常の複雑な仕事ができなくなる、物事を順序立てて行うことが困難となるなど、徐々に日常生活に影響をきたす症状が現れます。さらに進行すると、洋服を着替えたり入浴をしたりすることにも介助を要し、最終的には寝たきりとなる可能性があります。
現時点ではADを根治させる治療法はなく、進行を遅らせる治療が主ですが、
近年ADの研究が進み、脳に蓄積されたアミロイドβを除去する薬が開発されています。

血管性認知症

ADに次いで日本人に二番目に多いタイプで、脳梗塞や脳出血など脳の血管の病気(脳血管障害)が原因で生じる認知症です。
・できることと、できないことに差がある(計算はできないが、専門的な知識は覚えているetc)
・同じことでも日や時間帯によってできたり、できなかったりする
など、症状の出方にばらつきや波がある状態は「まだら認知症」と呼ばれ、血管性認知症で起こりやすい症状の一つです。

レビー小体型認知症(DLB)

DLBはレビー小体というタンパク質が脳に蓄積することで神経細胞が破壊されて生じる認知症です。ADと比べ、もの忘れが目立たないことがあり、DLBの症状には下記の特徴があることが知られています。
1. 認知機能の変動:日や時間帯によって、もの忘れの症状が良くなったり悪くなったりする
2. 幻視:「小さな動物や子供が見える」など具体的な幻視を繰り返す
3. パーキンソン症状:動作が遅くなる、手が震える、小刻みに歩くなど
4. レム睡眠行動異常:悪夢をみて暴れる
そのほか、立ちくらみや便秘などの自律神経症状や抑うつ症状など、様々な症状が認められます。

また、ビタミン欠乏や甲状腺機能異常など、治療可能な原因により認知機能低下をきたしている可能性もあるため、もの忘れの原因を調べることは非常に重要です。
当院では、もの忘れが気になる患者様について詳しくお話を伺い、神経学的診察や認知機能検査、血液検査など細かな診察・検査を行った上で、必要に応じて適切な治療を選択します。
 

このような症状がみられたら、ご相談ください。

・物の名前が思い出せなくなった
・最近の出来事をすぐ忘れてしまう
・物を置いた場所やしまった場所が分からず、探すことが増えた
・何をするにもやる気がなくなった
・趣味が楽しめなくなった
・ニュースなど周りの出来事に興味が持てない
・物事を判断したり理解したりする力が衰えた
・慣れている場所なのに道に迷った
・家事などのよく慣れた作業の手順が分からなくなる
・何度も同じことを言ったり、聞いたりする
・同じ料理ばかり作るようになった
・薬の管理ができなくなった
・怒りっぽくなった
・財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
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